祝福〜オラとニコデムの家〜

監督の言葉

オラとニコデムは、リアリスティックな“ヘンゼルとグレーテル”なのです。

オラとニコデム、そして彼らの父親と何度か会った後、私は自分が、無条件な家族の愛の力についての映画、永遠につづくと思われている絆についての映画を作りたいと思っている、と気づきました。
すべてが失われて、悪化して、崩れおちそうで、窮屈なアパートの中で、私は、誰かのちょっとした仕草ひとつが、皆の怒り、恐れといった感情に雪崩をおこすように露わにしてしまうほどにオラ、ニコデム、父親の3人が強く結びついているのを見ました。

この映画は、ポーランド人の家族が、初めての聖体拝領の式を迎える準備についての映画ではありません。愛ある家族の絆として考えられている聖体拝領が不可能であることについての実存的な物語なのです。

私は幼い頃、他の子どもとかわりなくおとぎ話を読むのが好きでした。「ヘンゼルとグレーテル」は私のお気に入りの物語のひとつでした。この映画『祝福〜オラとニコデムの家〜』は、親が自分の役割を果たせない世界の森で、彼らの道を探すヘンゼルとグレーテルの、非モノクロームで描かれたリアリスティックな物語なのです。
子どもはどれくらい耐えることができるのでしょうか?
彼らの希望は、母親が帰ってきて家族が再び一緒になるという、ただそれだけです。そして誰かがいつか、彼らを生活の責任から解放してくれることを願っているのです。

場面写真 監督 アンナ・ザメツカ

ヘンゼルとグレーテル

グリム童話の代表的な物語。1812年の初版から1857年の第7版まで様々な書き換えがあり、その後も現代に至るまで多くのヴァージョンが登場している。よく知られている内容は、森のそばに貧しい木こりの夫婦とその子であるヘンゼルとグレーテルの兄妹が暮らしていたが、あまりの貧しさにパンにも事欠き、ついに父親はヘンゼルとグレーテルを森に捨ててしまう→兄妹は帰る家に迷わないようパン屑を落としながら歩くが鳥に食べられて道に迷う→お菓子の家を見つけて中に入るとそこにいた老婆が親切に迎えてくれる→実は老婆は魔女で食べられそうになる→しかし兄妹は機転を利かせて魔女を退治し、魔女の家にあった財宝を持って無事家に帰る、と言うもの。

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