燈火(ネオン)は消えず

INTRODUCTION
イントロダクション
港の夜景の象徴だったネオンが消えゆく今。それでも「その灯を消さない」と奮闘する職人たちの心意気と名優コンビが演じる夫婦愛。アカデミー賞国際長編映画賞香港代表に選ばれた感動作。
9割のネオンが消えた香港。もう一度輝かせたいという願い。
香港といえば「100万ドルの夜景」。その夜景を彩っていたのが、ネオンサインの看板だ。しかし、そのネオンは2010年の建築法等改正以来、2020年までに9割も姿を消したという。それでも香港には今も「その灯を消さない」と奮闘するネオン職人たちがいる。本作は、そんな香港に捧げたラブレターのような映画だ。主人公は、ネオン職人の夫を亡くした妻。夫がやり残した最後のネオンを完成させようと決意するが……。実在のネオン職人が登場する映画のラストサプライズまで、ぜひ席を立たずにご覧ください。
シルヴィア・チャン、サイモン・ヤムの名優コンビが演じる夫婦愛。
妻を演じるのは、『過ぎゆく時の中で』や『呉清源~極みの棋譜~』の名女優シルヴィア・チャン。ガラス管ネオンにこだわる昔気質のネオン職人の夫ビルに『イップ・マン 序章』や『七人樂隊』のサイモン・ヤム。さらに『返校 言葉が消えた日』の人気女優セシリア・チョイと本作で香港電影金像奨新人賞にノミネートされたヘニック・チャウが共演。若手女性監督アナスタシア・ツァンが、長編デビューとは思えないほど感情豊かに完成させた。中華圏を代表する映画賞である金馬奨で、シルヴィア・チャンが3度目の主演女優賞に輝き、第 96回米アカデミー賞国際長編映画賞の対象となる香港代表作品にも選出。独自の文化が少しずつ消えてゆく中、ネオン職人たちに、そしてすべての香港人に捧げられた今年きっての感動作です。
STORY
ストーリー
腕ききのネオン職人だった夫ビルが亡くなった。古き佳き時代のガラス管のネオンを愛した夫。妻メイヒョンは後悔していた。 かつてSARSが香港を襲ったとき、夫にネオンの仕事を廃業させたことを。ある日メイヒョンは、「ビルのネオン工房」と書かれた鍵を見つける。 もう10年前に廃業したはずなのに。 昔の工房へ行ってみると、そこには見知らぬ青年がいた。 名前はレオ、夫の弟子だという。ビルの死を伝え、工房を閉めると告げるメイヒョン。 レオは、師匠にはやり残したネオンがある、それを完成させるまでやろうと説得する。メイヒョンは、夫がやり残したネオンを探しだし、完成させることを決意する。 ネオン作りの修行を始めるメイヒョン。 一方、ひとり娘からは、香港を離れて海外へ移住すると打ち明けられる。はたして夫の最後のネオンの行方は?
CAST
キャスト
メイヒョン:シルヴィア・チャン
張艾嘉 | Sylvia CHANG as Mei Heung
台湾出身、香港・台湾などで活躍する名女優で、1973年のデビュー。 1981年からは監督も手がける。金馬奨では1976年『碧雲天|Posterity and Perplexity 』で最優秀助演女優賞、1981 年『我的爺爺|My Grandfather』で最優秀主演女優賞、1986年『最愛|Passion』で最優秀主演女優賞を受賞。本作で3度目の主演女優賞に輝いた。監督作では1995年『少女シャオユー』でアジア太平洋映画祭最優秀作品賞・最優秀脚本をダブル受賞、1999年『君のいた永遠(とき)』で香港電影金像奨最優秀脚本賞、2018年『妻の愛、娘の時』で金馬奨最優秀監督賞を受賞。2015年の『あなたを、想う。』も高い評価を得ている。
他の映画出演作(抜粋):1979・山中傳奇/1982・悪漢探偵/1983・海辺の一日/1984・上海ブルース/1989・過ぎゆく時の中で/1993・つきせぬ想い/ 1994・恋人たちの食卓 /1999・君のいた永遠(とき)/2006・呉清源~極みの棋譜~/2018・妻の愛、娘の時/2018・ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ/2019・夕霧花園
ビル:サイモン・ヤム
任達華 | Simon YAM as Bill
香港生まれ。モデルとして芸能活動を始め、70年代から俳優業へ。これまで250本に及ぶテレビドラマ・映画に出演。ジョニー・トー監督作でよく知られる。ハリウッド映画『トゥームレイダー2』にも出演。香港電影金紫荆奨では、2004年『PTU』と2006年『エレクション』で主演男優賞に輝き、2010年には『歳月神偸|Echoes of the Rainbow』で香港電影金像奨最優秀主演男優賞を受賞。近年は、人情味あふれるいぶし銀の演技も高く評価されている。
他の映画出演作(抜粋):1989・ファイナル・ファイト 最後の一撃/1992・フル・コンタクト/2001・フルタイム・キラー/2003・PTU/2003・トゥームレイダー 2/2004・ブレイキング・ニュース/2005・エレクション/2006・エグザイル/絆/2008・イップ・マン 序章/2013・ファイアー・レスキュー/2015・ドラゴン×マッハ!/2021・七人樂隊
チョイホン:セシリア・チョイ
蔡思韵 | Cecilia CHOI as Prism
香港生まれ。モデルから俳優業へ。2017年のテレビドラマ『短暫的婚姻』で注目を浴び、2019年には『夢の向こうに』で香港映画批評家協会賞の主演女優賞を受賞。台湾の大ヒットホラー映画『返校言葉が消えた日』、金馬奨で多数ノミネートされた『香港の流れ者たち』など話題作への出演が続いている。
他の映画出演作(抜粋):2019・夢の向こうに/2020・返校言葉が消えた日/2021・香港の流れ者たち
レオ:ヘニック・チャウ
周漢寧 | Henick CHOU as Leo
香港舞台芸術学院卒業。2019年にテレビシリーズ『教束』でデビュー。本作で香港電影金像奨新人賞にノミネートされた期待の若手俳優。
他の映画出演作(抜粋):2021・アニタ
ビルの親友・ウォン:ベン・ユエン
袁富華 | Ben YUEN as Master Wong
中学卒業から働き始め、演劇のアマチュア俳優としてキャリアを始めた苦労人。1999年、チャウ・シンチーの『喜劇王』で人気を得る。2018年の『トレイシー』で金馬奨最優秀助演男優賞を受賞。その後も数々の賞に輝くバイプレイヤー。
他の映画出演作(抜粋):1999・喜劇王/2004・2046/ 2017・逆さま/2019・ソク・ソク/2019・花椒の味/2020・バーニング・ダウン 爆発都市/2020・ワン セカンド チャンピオン/2021・人生の運転手(ドライバー)~明るい未来に進む路~
若き日のメイヒョン:アルマ・クオック
郭爾君 | Alma Kowk
舞台・テレビ・映画の女優、テレビ司会者、モデルなど幅広く活躍。コスプレイヤーとしても人気。
若き日のビル:ジャッキー・トン
唐浩然 | Jacky Tong
テレビシリーズ『教束』で主人公の一人を演じて注目され、テレビ・映画に活躍。
STAFF
スタッフ
監督/脚本:アナスタシア・ツァン
曽憲寧 | Anastasia Tsang
ソルボンヌ大学映画学部卒業。監督、脚本家。トランスジェンダー問題を扱った短編第 一 作『Marriage Sans Frontières 無性界之婚』(2011)がカ ンヌ映画祭短編部門に選出。シュールな短編『Marryland 未婚結界』(2014)はウーディネ極東映画祭に出品。結婚生活の複雑さを描いた香港ViuTV のドラマ『Till Death Do Us Part |婚内情』(2019)では共同監督を務める。
プロデューサー:サヴィル・チャン
陳心遙 | Saville Chan
映画プロデューサー 、脚本家、ソングライター。プロデューサー兼脚本を担当した『狂舞派』(2013)が香港電影金像奨で最優秀作品にノミネート。同じくプロデューサー兼脚本を担当した 『私たちが飛べる日』(2015)は香港電影金像奨最優秀脚本賞にノミネート。またこれまでに主題歌の作詞で香港電影金像奨の最優秀オリジナル主題曲受賞を3度受賞している。
撮影監督:リョン・ミンカイ
梁銘佳 | Leung Ming Kai
映画監督、撮影監督。中国系カナダ人を描き、2016年トロント国際映画祭ディスカバリー部門に選出された『オールド・ストーン|老石』でカナダ映画賞最優秀撮影賞にノミネート。その他の作品に、『4月の終わりに霧雨が降る』(2012 )、シルヴィア・チャン監督の『あなたを、想う。』(2015 )、『ソク・ソク』 (2019)、『夜の香り』(2019/ドキュメンタリー/ケイト・ライリーと共同監督も)、『香港の流れ者たち』(2021)、『縁路はるばる』(2021)、『白日青春   生きてこそ   』(2022)など。
美術:アレックス・モク
莫少宗 | Alex Mok
1990年代からアートディレクター、プロダクションデザイナーとして香港映画界で活躍。日本で上映された主な作品に『ラスト、コーション』(2007)、『コールド・ウォー 香港警察 二つの正義』(2012)、『未来戦記』(2022)など。
編集:ノーズ・チャン
陳序慶 | Nose Chan
主な作品に『ソク・ソク』(2019 )、『黄金花|Tomorrow is Another Day 』(2017 )、『深秋の愛|愛在深秋|Love In Late Autumn』(2016)など。
音楽:アラン・ウォン&ジャネット・ユン
黃艾倫&翁瑋盈 | Alan Wong & Janet Yung
カップルで映画音楽を多数手掛ける。日本で上映された主な作品に『レイジー・ヘイジー・クレイジー』(2015)、『おじいちゃんはデブゴン』(2016 )、『29歳問題』(2017 )、『恋の紫煙3』(2017 )、『映画をつづける』(2021 )、『ママの出来事』(2022)、『6人の食卓』(2022)など。
NEON
ネオン
香港のネオンサイン
「100万ドルの夜景」と呼ばれた香港の夜。香港と聞くと、夜に輝くネオンサインの看板を思い浮かべる人も多いだろう。ネオンは20世紀初頭にヨーロッパで発明され、その技術が当時イギリス領の香港や上海租界に伝わった。日中戦争や内戦で上海から香港に逃げてきた多数のネオンサイン職人も香港ネオンの発展に寄与し、香港経済の急速な成長とともにネオンは増え続けた。
消えゆく香港のネオン
しかし、2010年の建築法等改正以来、多くのネオンサインが撤去され、2020年までに9割も姿を消したという。それでも香港には今も「その灯を消さない」と奮闘するネオン職人たちがいる。また看板への規制が厳しい中、エンターテインメントやアートの世界でネオン文化を発展させるアーティストも登場している。
ガラス製ネオン管からLEDへ    日本では?
ネオン管はガス放電管の一種で、細長いガラス管に不活性ガスを封入し、電流を流して放電させることで発光させるが、近年では、ガラス製ネオン管よりも、アクリル製で割れに く、高寿命・低電圧で経済的で使い勝手も良いLEDネオン風サインが世界的に主流となった。またネオン管には職人の高度な技術力が必要で、職人の高齢化や後継者問題によりネオン管は激減の一途をたどっている。日本では現在、全国で50人ほどしか職人がいないと言われている。しかし、LEDと違った温かみのある光を愛する人も多く、レトロなネオンに魅せられる若者も増えている。
LOCATION
ロケーション
本作撮影時にはすでに多くのネオンサインが撤去されていたため、映画では、過去の記録映像を使用したり、過去の資料をもとにCGを使ってネオンを再現したり、さらにはネオン指導の職人の監修で新たに作り直して再現した。今はほとんどないネイザンロードのネオンや2016年に水没したJUNBOのネオンも見える。ちなみに本作は香港島の中環、湾仔、アドミラルティ(金鐘)、コーズウェイベイ、九龍の尖沙咀、佐敦、油麻地、旺角などでロケを行っている。
FOOD
香港フード
映画に印象的に登場するのは香港人に愛される酸っぱい梅ソース(酸梅醬)で食べるロースト・グース(燒鵝/ガチョウのロースト)。 作るときは皮の部分が香りたつまで揚げることと、ソースは梅醬を使用するのがポイント。
COMMENT&REVIEW
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