映画『蝶の渡り』

TRAILER

トビリシ国際映画祭 オープニング作品 金のプロメテウス賞(映画への貢献に対して)

INTRODUCTION

INTRO
 DUCTION

かつて、輝いていた若者たち——その27年後の姿ときたら!!
心に残る戦争の痛み、ディアスポラの悲しみ。それでも、笑って生き抜いていく。

ソ連からの独立が近づき、希望に満ちた<どんちゃん騒ぎ>で新年を迎える若者たち。しかし、独立はしたものの、喜びは、戦争ですぐに消えてしまう……そして27年後。彼らの姿ときたら!!

笑いあふれるドタバタ的展開を交えながらも、未来に行き詰まり、生き抜くために「渡り」をするジョージア人の姿を蝶に託して。戦争の痛みやディアスポラ(民族離散)の悲しみをも、ジョージア独特の「陽気な悲劇性」で描ききる。悲しいはずなのに明るく祝祭的で、共感と未来への希望が、国を越えて伝わってくる感動作。

ジョージア映画初のカンヌ映画祭受賞&アカデミー賞ノミネートに輝く
女性監督ナナ・ジョルジャゼ集大成的な傑作!

2022年に日本公開されたラナ・ゴゴベリゼ監督の『金の糸』(2019)の主演で知られるナナ・ジョルジャゼだが、本来は映画監督。1986年の『ロビンソナーダ 私の英国人の祖父』がジョージア初のカンヌ国際映画祭カメラドール(新人監督)賞を受賞し、1996年の『シェフ・イン・ラブ』もジョージア初の米アカデミー賞外国語映画賞にノミネート。現在に至るまで、数々の国際共同作、国際映画祭受賞作で高く評価され、世界三大映画祭はじめ100以上もの国際映画祭で審査員も務めている、まさに“映画の王国”ジョージアを代表する監督だ。

数々のジョージア現代絵画や ギヤ・カンチェリ・トビリシ青年オーケストラの音楽、
トビリシ、ムツヘタ、トゥシェティ…ロケ地も魅力。

映画の中で、主人公画家コスタの半地下の部屋に飾られた数々の絵画は、無造作に置かれているが、イラクリ・スティゼやメラブ・アブラミシュヴィリら美術館に展示される著名な画家の作品ばかり。また音楽のダト・エヴゲニゼの曲を、ギヤ・カンチェリの名を冠したトビリシ青年オーケストラ(主席指揮者がミリアン・フフナイシュヴィリ)が演奏しているのも聴きどころだ。「ジョージアの母」の像が見えるトビリシの古い街並みや、ムツヘタの修道院、トゥシェティの田園などのロケ地も魅力的で、ジョージアの文化・風景の素晴らしさが堪能できるだろう。

STORY

ジョージア。1991年。ソ連からの独立が近づき、希望に満ちた<どんちゃん騒ぎ>で新年を迎える若者たち。しかし、その夢は叶ったものの、喜びは、新たな戦争ですぐに消えてしまう……そして、27年後。画家コスタは、祖父母の代からの古びた家の半地下に暮らしている。そこに集まるのは、かつての芸術家仲間たち。そこに、コスタの昔の恋人ニナが戻ってきて、コスタの絵を買いにきたアメリカ人コレクターが、なんと彼女に一目惚れ!さぁ、どうなる!?

DIRECTOR

監督・脚本 ナナ・ジョルジャゼ

Nana Jorjadze

1948年、トビリシに生まれる。1968年から1974年まで建築家として働いた後、現在のショタ・ルスタヴェリ演劇映画ジョージア国立大学に入学。以降、女優業のほか衣装や美術などで様々な映画に関わるが、監督を志す。1986年、長編第一作『ロビンソナーダ 私の英国人の祖父』でジョージア初のカンヌ国際映画祭カメラ・ドール(新人監督賞)受賞。1996年の『シェフ・イン・ラブ』はアカデミー外国語映画賞にノミネートされた最初のジョージア映画となり、2000年の『シビラの悪戯』も数々の国際映画祭で受賞。2019年にはジョージアワインについてのユニークなドキュメンタリー『Prime Meridian of Wine』を発表。1992年のカンヌ国際映画祭審査員、1997年のヴェネツィア国際映画祭審査員はじめ、これまで100以上の国際映画祭で審査員を務め、名実ともにジョージアを代表する女性監督。本作はジョージアの首都で開催された2023年トビリシ国際映画祭のオープニングを飾り、ジョルジャゼ監督は映画への貢献に対して金のプロメテウス賞を受賞。

REVIEW&
COMMENT

人はめったに「人生はかけがえのないものであり、
幸せとは日々がもたらす光である」と気づきはしないものだが、
この映画の登場人物たちはそのように生きている。
カメラワークは、驚くほどダイナミックで軽やか。
どのフレームも一枚の絵画のようで、空気のような光が美しさを引き立てている。
現代の映画にあって、ナナ・ジョルジャゼ監督のように、最も重要で、最も本質的なことを、
こんなにも軽やかに魅力的に語れる人物は稀なのだ。

ナナ・トゥトベリゼ(ジョージアン・フィルム・レビュー)

住処すみかを追われる蝶々たち。
どこまでも自由で、美しくて、とことん貧乏で、
それでも誰より誇り高きアーティストたち。
大国の力に振り回されたジョージアは、
長い歴史の深い悲しみを美味しいワインに熟成したような国。
映像のすべてが絵画のようだ。
美しく哀しい。なんだろう、この愛しさは!

加藤登紀子(歌手)

ジョージアで人々が様々な問題を泣き、
笑いながらどう乗り越えてきたのか。
同国の歴史、文化、自然が見事に織り込まれた映像美の中で、
繊細な人間ドラマと未来への課題が濃縮された最高傑作!

廣瀬陽子(慶應義塾大学教授)

映画のアンフォルメル運動?
会話も音も光も影も何もかもが混沌として
何かに酔ってるようでした。
映画がARTへ加速!…きっとやられると思います
蝶の渡りが心に届く迄お席を立たないで下さい。

風吹ジュン(俳優)

想像していた明るい未来と異なる厳しい現実を救ったのは、
美しい絵画と音楽、そして切なくも温かい友(愛)情だった。
ラスト・シーンでナタが呟くモノローグは、
本作品を撮り終えた監督の本心のようにも思える。

宮津大輔(アート・コレクター)

絶妙なユーモアとペーソスを堪能。
そしてジョージアの苛酷な時代を生きた主人公たちの友情に、
今、再び激動するジョージアで、
自由を求め、明日を信じて闘う人々の絆を想う。

はらだたけひで(画家・絵本作家・ジョージア映画祭主宰)

海を渡る蝶がいるという。
華麗だけれども儚い羽に生きる運命を託して。
グルジアからジョージアへと転身する痛みにも似る。
主人公は国民画家ピロスマニを彷彿とさせ、
この国の現代絵画を知る上でも必見の作。

遠藤望(ハーモ美術館館長)

私の愛してやまない街トビリシに集う
お祭りと酒好きな 素敵にアナーキーでメランコリックな若き芸術家たち。
かけがえのない時間は過ぎて訪れる別離や帰還、
困難な時代でも未来を託せる希望を垣間見ることのできる喜び!

川合知代(ラ・ジュテ ゴールデン街)

最も愛する祖国は最も悲しい場所。
誰もが道化のように振る舞うドタバタ劇は、
ユーモアでしか表すことのできない悲しみが充満している。
“空っぽの国”を満たすのは彼らの爆発的なエネルギーだ。

庄司朝美(画家 2022年〜2023年ジョージア トビリシに滞在)

ジョージア……僕はこの国で見た、
コーカサス山脈にかかる八月十五夜の満月が忘れられません
元大関栃ノ心の故郷 ジョージアの映画です
この国の歴史 大勢の登場人物の人生……見所は満載です

久米宏(フリーアナウンサー)

ナナ・ジョルジャゼ監督は、現代ジョージア映画界を代表する監督の一人であり、
映画史が豊かな我が国にとって、日本の皆様にぜひご紹介したい映画人です。
ジョージアの魅力が詰まった本作品を通じて、観客の皆様をジョージアの世界へと誘い、
これをきっかけに映画を通じた日本との交流が一層深まることを心より願っています。
配給会社の皆様、そして観客の皆様に心より感謝申し上げます。ガウマルジョス!

ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)

敬称略・順不同

FLYER

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